エンジンの冷却損失とボア・ストローク
どうも,エンジンのボアストローク比と冷却損失について考えたのでまとめます.
ことの発端は,N-BOXのフルモデルチェンジ紹介記事を読んでいた時のことです.
N-BOXは2017年のフルモデルチェンジとともに,エンジンがS07A→S07Bへと変わり,内径×行程が64×68.2
→60×77.6へとロングストローク化しました.
よく,これについて他の低燃費エンジンに比べS/B(ボアストローク比)が大きく冷却損失が少ないとか言われるわけですが実際のところどうなのでしょう.
ここで,半径r 高さlの円筒をモデルとして,S/V(表面積/体積)が最小となるS/Bを計算してみます.
まず,S/Vは
と表される.
ここで,体積を一定とするならば,
となる.
関数fを,とおくと,導関数
であり,の時に,S/Vが最小値を取ることがわかる.
この時のボアストローク比を求めれば,
となります.これは,ボア・ストローク・体積によらず一定なので,ボアストローク比が1の時に最も体積あたりの表面積が小さくなり,冷却損失が小さくなる,,?
いや,ボアストローク比はピストンが下死点の時の容積なので,実際の燃焼の時の温度が高い時の燃焼室がこのボアストローク比1の時の形になるのが理想的ということになりますね!
とはいえ,そのような時のピストン位置を正確に知るのは,ムヅカシイ,,というか点火やバルブのタイミングなどで変化するだろうから厳密に冷却損失が最小になるボアストローク比を求めるのは至難の技ですね.ここら辺は,メーカーの経験やシミュレーション結果の見せ所ということでしょうか,,,